小児在宅医療の現状と今後の課題

小児在宅医療を受ける高度医療依存児が増えています。
医療の進歩にともなう背景として挙げられるのは、少子高齢化社会と小児医療です。
女性の社会進出とライフスタイルの変化により、晩婚化が進むとともに高齢出産数が増加してきました。
さらに、医療技術の進歩により新生児死亡率が先進国の中でも最も低くなったことで、低出生体重児や重い問題を持って生まれた新生児の多くの命が救われています。
新生児の死亡率が極めて低いことはとても素晴らしい結果ではありますが、継続して医療ケアを受ける必要がある子どもたちを増やす結果にもなってしまったのです。

医療技術の進歩は子どもの病態に変化を与えてきました。
病院で医療ケアを受ける必要はありませんが、日常的に人工呼吸器や経管栄養が必要になるケースが増えてきています。
子どもの成長により病態が変化していく場合も多く、24時間介助者が必要な場合も少なくありません。
家族への負担も大きく、国の福祉制度や社会制度はこの状態に追いついておらず、小児在宅医療を受けている子どもがどのくらい存在するのかも把握されていないのが現状です。

子どもの成長には自分でできることや体験を増やすことも不可欠ですが、地域社会の理解や環境の整備が追いついていません。
今後は福祉制度と社会制度の充実とともに、医療と福祉が連携したケア体制の確立やヘルパーなどの人材育成、病院と地域のコミュニケーションを密にしていくことが必要です。
すべての子どもが一人一人大切にされ、地域の中で安心して成長できる社会が求められています。
そのためにできることとしてまずは、現状を理解して専門性に特化した情報サイトなど活用し、今できることに積極的に取り組むことです。